Believe ３話
桜side
託也は、私を後ろから優しく抱きしめていた。
「ちょっ・・・//////////何してんのっ」
その言葉を遮るかのように、託也は腕に力をこめた。
Ｓ「桜さぁ・・・。
山田のこと好きなんだろ?」
言い終えたと同時に、さらに強く抱きしめられた。
託也の声は、とても低くてびっくりした。
「えっ・・・?//////////////い、いやっ、そんなこと無いよ?てか、どうしたのっ・・・」
また、顔がほてる。
でも、声色はいつも通りにしようとした。
すると、ストンと力が抜けたように抱きしめていた腕がおりた。
Ｓ「何にも・・・。なんかごめん・・・」
「えっ、ううん。なんかこっちこそっ・・・」
何だろ・・・。
託也が託也じゃない。
なんかあったのかなぁ・・・?
託也side
何やってんだよ・・・
でも・・・
やっぱり、桜は山田のことが好きなのか・・・。
「ごっ、ごはんすぐ作るからねっ!ちょっと待っててっ」
Ｓ「おうっ・・・。さんきゅっ・・・。」
桜は、なんかあると必ず長い髪をかきあげるクセがある。
今日も、そうだった。
だから、もしかして・・・と思ったら。
なんだよっ・・・
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
「・・・お待たせっ。」
桜は、ほわほわと湯気の立つマーボー豆腐を机においた。
「今日はこんなのしか無かったっ。ははっ、バイトもっと頑張らなきゃだよね、ほんと。笑」
桜を、無理して笑わせるようなことをしたのがすごく悲しかった。
山田に嫉妬してる俺が嫌いだった。
「冷めちゃう前に食べよっか!!!いっただっきまーす!!!!」
Ｓ「いただきます。」
やわらかい豆腐をスプーンですくって、口に運ぶ。
ちょうどいい辛さが、今の俺の気持ちに驚くほどぴったりだった。
久しぶりに味わう桜の味は、優しくて桜の人柄そのもののような気がした。
「・・・おいしい?」
無言で食べてて心配になったのか、顔をのぞきこんで聞く。
Ｓ「ちょっと辛いっ・・・」
「うそっ!!!ごめんっ。なんか新しいの作る!!!!!!」
Ｓ「ううん。嘘だよ。おいしい。さすが、桜って感じ笑」
「そっか。良かった、良かった。」
Ｓ「桜・・・。」
「ん?」
口元に米粒をつけながら、不思議そうに顔をあげる。
Ｓ「・・・山田は、いい奴だし・・・。なんか・・・桜にぴったりだと思う。」
やっぱり。
いつまでも、こんな奴なのか。俺は。
空気ばっか読んで、少しくらい羽目外すような一言も言えないのか。
「なにそれっ//////好きじゃないってば!//////////もうっ///////」
あからさまに好きって顔すんなよ・・・
壊れちゃうよ俺・・・
ー翌朝ー
桜side
そろそろ、託也が来るころ。
昨日は、いつもみたいに話せなかった。
・・・あんなことがあったから。
なんで、託也は私に山田くんのことを聞いたんだろう。
なんでっ・・・
抱きしめたんだろう。
聞きたいことはたくさんあるけれど、聞く勇気のかけらもない。
ピンポーン
きた。
どうしよう。なんて出よう。
「おはよっ!」それとも、「昨日・・・なんかあった?」
ガチャ
Ｓ「出るのおせぇよ。」
「あっ、あぁーーーごめん!!!ははっ、身だしなみ確認っ?的な笑」
なにそれ。不自然すぎ。
昨日のこと、気にしてることバレちゃうよ・・・
Ｓ「じゃあ・・・行こっか。」
「うん。。。」
こんな時でも、山田くんの横顔が私の頭から離れないことに驚いていた。
ー学校ー
がらっ
教室の扉を開ける。
ほら、ざわつく。
なによ。私、何か悪いことしたの?
幼なじみと学校へ来るのっていけないこと?
いつから、こんな最低なことを考えるようになったのかなっ。。。
Ｙ「おはよっ、桜。」
「うん・・・」
Ｙ「何よー。おはようにはおはようで返してよ～。」
「うん・・・」
Ｙ「もぅ・・・・なんかあったの?元気ないよ?」
託也に抱きしめられた。
そんなの、口が裂けても言えない。
優希は、私の大切な友達だもの。
失いたくない。
「ううんっ。眠いなぁ～なんて。笑」
「そうなんだ。ってか、御村くん、なんかうちのこと言ってなかった?」
やっぱり、正直に言うか。
でも、優希は失いたくない。
２つの気持ちが私の心の中で戦う。
勝ったのは...
「う～ん、、聞いてない。ごめんね。。」
優希を失いたくない気持ちだった。
Ｙ「そっか。うん。ありがとう。」
「ううん。私も託也に言っておくよ。優希はすごくいい人だって。」
Ｙ「本当!?ありがと!!!!すごい嬉しい!!!!!!!」
これで、、あってるよね。
そのまま、優希の席を離れて自分の席に座る。
あ・・・。
また寝てるじゃん。
あごにある、小さなほくろ。
可愛らしい口元。
ビー玉のようにきれいな瞳。
一部だけはねている髪の毛。
好き。
そんな感情が心のすきまから顔を出した。
